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天谷 政樹; 宇田川 豊; 成川 隆文; 三原 武; 杉山 智之
Proceedings of Annual Topical Meeting on Reactor Fuel Performance (TopFuel 2015), Part.2 (Internet), p.10 - 18, 2015/09
高燃焼度領域での燃料性能を向上させるとともに既設の原子炉の安全性を向上させるため、高耐食性被覆管や核分裂生成ガス放出を抑えたペレットで構成された改良型燃料が事業者や燃料メーカによって開発されてきた。このような改良型燃料の現行の規制基準や安全裕度の妥当性を評価するため、またこれらに係る将来の規制のためのデータベースを提供するため、原子力機構はALPS-IIと呼ばれる新しい研究プロクラムを開始した。このプログラムは、欧州から輸送された高燃焼度改良型燃料を対象とした反応度事故(RIA)模擬試験及び冷却材喪失事故(LOCA)模擬試験から主に構成されている。本論文では、このプログラムの概要及び現在までに得られているRIA及びLOCA模擬試験結果について述べる。
杉山 智之; 永瀬 文久; 更田 豊志
Proceedings of 2005 Water Reactor Fuel Performance Meeting (CD-ROM), p.912 - 932, 2005/10
反応度事故条件下では膨張する燃料ペレットとの機械的相互作用により高燃焼度燃料被覆管が破損し得る。被覆管の破損限界を評価するため、ジルカロイ被覆管の機械特性を適切に測定するためのリング引張試験の改良を行った。その結果、試験片の摩擦や曲げモーメントに起因する不要因子を最小限にする試験手法及び試験片形状を開発した。その手法を非照射ジルカロイ4被覆管に適用し、機械特性の水素吸収量及び温度に対する依存性を評価した。水素濃度700ppm以上においては、300から473Kまでの温度範囲において明確な延性の増大が見られた。一方、500ppm以下の場合は300から573Kの温度範囲において延性の温度依存性が比較的小さいことを明らかにした。
更田 豊志; 杉山 智之; 笹島 栄夫; 永瀬 文久
Proceedings of 2005 Water Reactor Fuel Performance Meeting (CD-ROM), p.633 - 645, 2005/10
NSRRでは軽水炉燃料の反応度事故(RIA)時挙動の研究を行っている。最近実施したOI-10及び-12実験では燃料破損には至らず、OI-11実験では破損時エンタルピが高いという結果を得た。これらの結果は、PWR運転中の耐食性が向上した新型被覆管の性能を反映しており、これらの被覆管を備えた燃料はジルカロイ4被覆燃料に比べてより大きな安全裕度を有すると言える。加えて、大粒径ペレットによる粒界ガス蓄積量の低減は、OI-10実験で観測されたように、RIA時のFPガス放出量を抑制し得る。VA-1実験は燃焼度78MWd/kgUのMDA被覆PWR燃料に対して実施した。高い燃焼度及び約81mという厚い酸化膜にもかかわらず、破損時エンタルピは燃焼度5060MWd/kgUで40m程度の酸化膜を持つ燃料に対する結果と同程度だった。この結果は、ペレットの固体熱膨張がPCMIの主要因であるため、ペレット周辺部の高燃焼度組織(リム組織)が破損時エンタルピの低下に及ぼす影響は小さいことを示唆している。
杉山 智之; 更田 豊志
Journal of Nuclear Science and Technology, 41(11), p.1083 - 1090, 2004/11
被引用回数:10 パーセンタイル:55.72(Nuclear Science & Technology)反応度事故(RIA)条件下で被覆管表面予備酸化膜が燃料棒の冷却性に及ぼす影響を調べた。照射済燃料棒の表面では膜沸騰遷移(DNB)が抑制され、またクエンチが早く生じるため、結果的に未照射燃料棒よりも冷却性が高いことがNSRR実験により示されてきた。沸騰遷移に影響を与え得る要因を考察した後、最も可能性が高いと考えられる表面予備酸化膜の影響について、未照射燃料に対するパルス照射実験により検証を行った。被覆管表面の条件としては、酸化膜無し,1ミクロン及び10ミクロン厚酸化膜付の3通りを用意した。温度計測結果により、酸化表面では温度及び燃料エンタルピに関するDNB発生しきい値が上昇し、同時に、クエンチ発生温度が上昇することで膜沸騰継続時間が短縮されることが示された。これら限界熱流束点及び極小熱流束点の変動は表面ぬれ性の増大により起こり得る。本実験においては、酸化膜の厚さではなくその有無が結果を左右していることから、酸化時の表面粗さ増大ではなく、酸化による化学ポテンシャルの変化が表面ぬれ性に影響を与えたと考えられる。
杉山 智之; 更田 豊志; 小澤 正明*; 永瀬 文久
Proceedings of 2004 International Meeting on LWR Fuel Performance, p.544 - 550, 2004/09
改良被覆管を備えた燃焼度約60GWd/tのPWR UO燃料を対象として2回の反応度事故模擬実験を行った。MDA被覆及び大粒径(約25m)ペレットを備えた燃料棒に対しピーク燃料エンタルピー条件435J/gで実施したOI-10実験では、約0.7%の被覆管周方向残留歪が生じた。一方、ZIRLO被覆及び従来ペレットの燃料棒に対して行ったOI-11実験では、燃料エンタルピーが500J/gに達した時点でペレット被覆管機械的相互作用(PCMI)による燃料破損が生じた。発熱部全長に及ぶ縦割れが被覆管に生じ、微粒子化した燃料ペレットが冷却水中に放出された。破損時の燃料エンタルピーは、当該燃焼度に対するPCMI破損しきい値209J/gを大きく上回っていた。本実験の結果は、従来のジルカロイ4と比較し、耐食性が向上した被覆管がPCMI破損に対してより大きな安全余裕を持つことを示した。
杉山 智之; 永瀬 文久; 中村 仁一; 更田 豊志
HPR-362, Vol.2, 12 Pages, 2004/05
軽水炉の安全規制に活用されるデータベースを提供するため、原研では、異常時及び冷却材喪失事故(LOCA)や反応度事故(RIA)等の想定された事故条件下における燃料挙動を明らかにするための研究を行っている。LOCA研究では急冷破断試験及び被覆管の酸化速度や機械特性に関する分離効果実験を行っており、照射被覆管を用いた試験に先立ち、運転中の腐食や水素吸収が及ぼす影響を調べる試験を非照射被覆管により実施してきたが、最近、照射被覆管を用いた試験を開始し、結果を得た。RIA研究では、高燃焼度燃料を対象とした一連のNSRRパルス照射実験を行っている。本論文は、原研のLOCA及びRIA研究で最近得られた結果を報告するものである。
北野 剛司*; 更田 豊志; 上塚 寛
JAERI-Research 2001-041, 24 Pages, 2001/08
水素化物リム生成が被覆管の円周方向機械特性に与える影響を定量的に評価するために、人工的に水素化物リムを生成させた被覆管の改良リング引張試験を実施した。室温における試験の結果、水素化物リムは脆く、変形初期において亀裂が生じるため、破断歪みは水素化物リム厚さの増加とともに著しく減少することがわかった。一方、573Kにおける破断歪みは、リム部の水素化物密度にも依存し、比較的厚い水素化物リムが生成していても、その密度が低い場合は大きな値を示した。延性-脆性のしきいとなる水素化物密度があり、そのしきい密度が温度とともに大きくなるため、水素化物密度の小さいリムは延性を示し、その結果、比較的厚い水素化物リムが生成している場合でも破断歪みは大きくなると考えられる。
草ヶ谷 和幸*; 中村 武彦; 吉永 真希夫; 小此木 一成*; 上塚 寛
JAERI-Research 2001-010, 44 Pages, 2001/03
2種のジルコニア型岩石燃料の反応度事故条件下における挙動を原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いたパルス照射実験により調べた。その結果、これらの燃料の破損しきいピーク燃料エンタルピ(単位燃料体積あたり)は、ともに10GJ/m以上で、UO燃料のそれと同等あるいはそれ以上であることがわかった。しかし、これらの破損形態はUO燃料とは異なり、燃料ペレットの大半の溶融及びその破損開口部から冷却水中への放出が見られた。高温に達し強度の低下した被覆管が内圧により破裂したものと推察される。燃料の放出に伴う機械的エネルギーの発生は、本実験の範囲(12GJ/m以下)では観測されなかった。
秋江 拓志; 中村 武彦
Progress in Nuclear Energy, 38(3-4), p.363 - 370, 2001/02
被引用回数:6 パーセンタイル:44.09(Nuclear Science & Technology)プルトニウム岩石型酸化物燃料(ROX燃料)は燃料温度係数が小さく、反応度事故(RIA)時のふるまいが大変厳しくなる。これを改善するために、ROX燃料中にUO,ThO,ErO等を添加したり、あるいはUO燃料炉心中に部分的にROX燃料集合体を装荷するなどして燃料温度係数の値を大きくしたROX-PWR炉心の設計研究を行った。設計研究の一方、ROX燃料ピンのRIA時の挙動を実験的に検討するため、NSRRにおけるパルス照射を行った。現行のUOピンとROXピンではRIA時の破損のメカニズムは異なるものの、燃料単位体積あたりのRIA時エネルギー蓄積量で表した燃料ピンの破損しきい値はUOとROXで同程度となることがわかった。
黒田 雅利*; 山中 伸介*; 永瀬 文久; 上塚 寛
Nuclear Engineering and Design, 203(2-3), p.185 - 194, 2001/01
被引用回数:14 パーセンタイル:68.97(Nuclear Science & Technology)反応度事故条件下における軽水炉燃料棒の破損挙動を解明するために、水素吸収管の破壊に関する解析を破壊力学に基づき行った。応力強度因子(SIF)、J積分及び塑性降伏荷重といった破壊力学パラメータを用いて破壊評価ダイヤグラム(FAD)を構築し、被覆管の破壊応力を評価した。FADから予測される被覆管の破壊応力は、原研が実施したNSRRパルス照射試験や高速加圧バースト試験の結果と定量的に一致した。
山下 利之
日本原子力学会「高度燃料技術」研究専門委員会報告書, p.467 - 474, 2001/00
余剰Puを消滅させるための岩石型燃料(ROX)と不活性マトリクス燃料の研究の現状を紹介した。ワンススルー燃焼のROX-LWRシステムは、核拡散抵抗性,環境安全性及びPu消滅率の観点から優れた特徴を有する。不活性マトリクス及び燃料照射の研究から、最も有望なROX燃料として、Puと若干の添加物を加えた安定化ジルコニア粒子をスピネルマトリクス中に均質分散させた粒子分散型燃料を提案した。また、炉心安全解析から、ROX燃料装荷PWRは反応度事故や冷却水喪失事故条件下でも現行UO装荷PWRと同等の安全性を有することが示された。反応度事故を模擬したパルス照射試験においても、ROX燃料の破損しきい値はUO燃料と同等であることがわかった。ROX燃料を用いた場合のPu消滅量はMOX燃料と比べ約2倍となる。
安全計画課
JNC TN1400 2000-012, 250 Pages, 2000/11
平成11年度の核燃料サイクル開発機構における安全研究は、平成8年3月に策定(平成12年5月改定2)した安全研究基本計画(平成8年度平成12年度)に基づき実施してきた。本報告書は、動力炉分野(新型転換炉及び高速増殖炉分野の全課題並びに、耐震及び確率論的安全評価分野のうち動力炉関連の課題)について、平成11年度の研究成果を安全研究基本計画(平成8年度平成12年度)の全体概要と併せて整理したものである。
not registered
JNC TN1400 2000-010, 70 Pages, 2000/10
本計画は、平成11年度より国の「安全研究年次計画」(平成13年度平成17年度)の策定作業に協力する形でニーズ調査及び研究課題を提案し、国の「年次計画」で採用された研究課題の他に社内研究を含めたサイクル機構の計画として策定した。サイクル機構の安全研究は、高速増殖炉、核燃料施設、耐震、確率論的安全評価、環境放射能、廃棄物処分及びその他(「ふげん」の廃止措置)の7分野において実施することとしている。なお、本計画は、安全研究専門部会、中央安全委員会及び理事会において審議され、決定されたものである。
笹島 栄夫; 更田 豊志; 中村 武彦; 中村 仁一; 菊池 圭一*
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(5), p.455 - 464, 2000/05
反応度事故条件下における照射済MOX燃料の挙動を調べるために、原研のNSRRにおいて燃焼度約20MWd/kgHMのATR/MOX燃料を用いたパルス照射実験を行った。ピーク燃料エンタルピ335~586J/gの範囲で4回のパルス照射実験を実施した結果、燃料の破損は観察されなかった。ピーク燃料エンタルピ500J/g以上の実験で、PCMIによる比較的大きな燃料棒の変形が生じ、461J/g以上のエンタルピで試験した燃料では、ペレット密度の顕著な低下が観察された。また本実験では最高約20%という高いFPガス放出が測定された。Puスポット位置では、FPガスが蓄積されていたと思われる数十ミクロンの大きな空洞が見られた。燃料ペレットの外周領域にあるPuスポットの周りでは、細粒化組織が観察された。Puスポット中の大きな空洞又は多孔組織の存在は、パルス照射時のペレットのスエリングに寄与したと考えられる。すなわち、高いエンタルピ条件でパルス照射した場合には、燃料棒の大きな変形を引き起こし、結果的に高率のFPガス放出を生じさせた原因になったと考えられる。
笹島 栄夫; 更田 豊志; 中村 武彦; 中村 仁一; 上塚 寛; 菊池 圭一*; 安部 智之*
JAERI-Research 99-060, p.62 - 0, 2000/03
反応度事故条件下における照射済MOX燃料の挙動、特にFPガス放出や破損機構をウラン燃料と比較し把握するために、原研のNSRRにおいて燃料燃焼約20MWd/kgHMまで新型転換炉「ふげん」においてベース照射したATR/MOX燃料を用いたパラメータ照射実験を行った。これまでに4回のパルス照射実験をピーク燃料エンタルピ335J/gから586J/gの範囲で実施したが、燃料の破損は観察されなかった。500J/g以上のピーク燃料エンタルピを与えた実験では、PCMIによる比較的大きな燃料棒の変形が生じた。パルス後のガスパンクチャ試験により、約20%のFPガス放出が観察された。Puスポット位置では、FPガスがたまっていると思われる直径数十ミクロンの大きな気孔が見られた。ペレット外周部のPuスポットの周りでは結晶粒の微細化が観察された。またペレット外周部でのマイクロクラックの生成、Puスポットを起点としたクラックの生成、マトリックス部の結晶粒界分離が観察された。このようにパルス照射によるペレットミクロ組織の変化がパルス照射時の燃料スエリングに寄与したと考えられる。また相対的に高いピーク燃料エンタルピのパルス照射時に見られた、燃料棒の大きな変形及び高いFPガス放出率は、このようなミクロ組織の変化によって生じたものと思われる。
笹島 栄夫; 更田 豊志; 石島 清見; 菊池 圭一*; 安部 智之*
Proceedings of 7th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-7) (CD-ROM), 10 Pages, 1999/00
高燃焼度UO燃料を用いたNSRR実験で、破損しきい値の低下が明らかにされたことから、MOX燃料についても、これらのことを確認する必要がある。我が国では、軽水炉でMOX燃料を燃やすプルサーマル計画や、MOX燃料の高燃焼度化計画が進められている。MOX燃料の軽水炉での利用に関しては、UO燃料と両立することが重要であり、核的及び熱水力的な特性がUO燃料と同等となるよう燃料を設計する必要がある。この計画を円滑に進めるためには、通常運転時及び過渡時の燃焼の進んだ燃料のふるまいを把握することが重要である。これに合わせて、NSRRでは平成7年度から照射済MOX燃料を用いたパルス照射実験を実施している。パルス照射実験に供する試験燃料は、新型転換炉(ATR)原型炉「ふげん」において燃焼度約20GWd/tまでベース照射したMOX燃料をNSRR実験用に短尺化したものを用いている。本報告では、これまでに行われた4回の実験について、破損しきい値、FPガス放出等の反応度事故時の燃料挙動を報告する。
笹島 栄夫; 更田 豊志; 石島 清見; 黒羽 裕; 池田 良和; 会沢 啓一*
JAERI-Tech 98-031, 225 Pages, 1998/08
NSRRでは、代表的な研究・訓練用原子炉であるTRIGA炉用燃料として世界的に使用されているウラン水素化ジルコニウム燃料の反応度事故時の破損しきい値及び燃料挙動を調べることを目的として、パルス照射試験を計画し、その実施へ向けて準備を進めている。本報告書は、ウラン水素化ジルコニウム燃料の設計・製作及び組立並びにパルス照射前検査をとりまとめたものである。その実験によって得られる知見は、TRIGA炉の性能向上に大きく寄与するとともに、安全評価のデータベースを拡充し、次世代型TRIGA炉の開発、安全評価に大きく資するものと期待される。
秋江 拓志; 安濃田 良成; 高野 秀機; 山口 兆一*; 菅生 幸博*
JAERI-Research 98-009, 44 Pages, 1998/03
余剰プルトニウムの処分を目的として、ジルコニア(ZrO)あるいはトリア(ThO)をベースとする、岩石型酸化物(ROX)燃料が検討されている。ROX燃料を装荷したPWRの安全解析の結果、ジルコニア型ROX(Zr-ROX)燃料炉心のドップラー反応度係数を大きくし、出力ピーキング係数を小さくする必要があることがわかった。これらの改善のため、Zr-ROX燃料にThO,UOあるいはErO等を添加し、さらにGdOの添加量を減らす等の、組成の調整を試みた。その結果、UO-ErO添加Zr-ROX燃料によりプルトニウム燃焼性能への影響を抑えて、UO燃料PWR並みの過渡特性が達成できた。
石島 清見; 更田 豊志
プルトニウム燃料工学, p.421 - 451, 1998/01
日本原子力研究所のNSRRでは、原子力安全委員会が策定した安全研究年次計画に基づき、反応度事故条件下における軽水炉燃料の挙動に及ぼす燃焼の効果を解明するための実験研究を進めている。最近は、高燃焼度燃料を対象とする実験に力点を置いている。本報告では、NSRRにおける最近の成果に基づき、高燃焼度軽水炉燃料の反応度事故実験挙動、特に、PCMI破損について述べるとともに、フランスにおけるCABRI実験の成果の概要についても紹介する。
中村 武彦; 細山田 龍二*; 笹島 栄夫; 更田 豊志; 森 行秀*
JAERI-Research 96-060, 110 Pages, 1996/11
NSRRでは燃焼の進んだ軽水炉燃料の反応度事故時の挙動を調べるパルス照射実験を実施している。同実験では未照射燃料に比べて大きい半径方向歪みが観測された。この変形挙動を再現するため核分裂生成物(FP)ガスによる被覆管変形モデルを開発しFRAP-T6に導入した。これに併せて物性、燃料割れモデル等の改良も行い実験の解析を行った。JM-4実験では、FPガスの結晶粒界での膨張による変形で実験結果が良く再現できることが明らかとなった。同実験では燃料全体の結晶粒界ガスが変形に寄与したものと考えられる。他方、照射済軽水炉燃料では燃料外周部で高い温度分布に伴う燃料の割れの増加を考慮するGAPCONモデルにより実験結果が良く再現できることが明らかとなった。本報告書では、これらのモデルを説明し、NSRR実験の解析結果を示す。